サッカーにおいて「フィジカル」は非常に重要な項目です。
「技術には自信があるのに体の線が細くて相手に負けてしまう」「体がなかなか大きくならない」という悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか
しっかりとした体を作るにはやはり「食事」が最も重要なポイントになります。
ということで今回は、「筋肉をつけるための食事方法」を紹介したいと思います。
効果的なタイミングと種類
何を意識して食事を工夫すればいいのか?
結論から言うと、運動前後に食事を摂取することです。
特に、運動前に炭水化物、運動後に炭水化物+タンパク質を摂るとより効果的です。
もちろん、1日3食を摂ることが大前提です。
なんとなく聞いたことがあるという人も多いと思いますが、皆さんはこのような食事方法が効果的な理由は知っていますか?
なぜこのような方法なのかを知るために、まずは筋肉について説明していきたいと思います。
効果的な食事方法は、運動前に炭水化物、運動後に炭水化物+タンパク質!
筋肉について
まず、筋肉は「タンパク質」からできています。
みなさんはいつ筋肉がつくのか知っていますか?
実は筋肉がついているときというのは「筋トレをしているとき」ではなく、「筋トレをした後」につきます。
筋肉は「筋線維」と呼ばれる線維からなっており、運動をすることで筋線維は損傷していきます。
運動によって損傷した筋線維は休息や栄養の摂取によっていずれ修復します。
筋肉を成り立たせているタンパク質(筋線維)が運動によって分解され、修復していくということです。
タンパク質
分解・修復を繰り返していくことで、より強く・太い筋線維になっていき「筋肉がつく」という状態になっていきます。
そして、合成が分解を上回るほど筋肉が大きくなります。
「タンパク質」でできている筋線維を修復するために「タンパク質」を多く摂取することが必要ということです。
✓ タンパク質でできた筋肉は、運動⇒損傷(分解)⇒修復(合成)の繰り返しで大きくなる
✓ タンパク質を合成>分解にすることでより筋肉を大きく!
運動後の炭水化物+タンパク質摂取
タンパク質と炭水化物を一緒に摂取することで、タンパク質のみを摂取するよりも合成が効果的に行われます。
それに加え、同時摂取によって運動によって消費された筋グリコーゲンの回復が高まります。
参照:Maximizing postexercise muscle glycogen synthesis: carbohydrate supplementation and the application of amino acid or protein hydrolysate mixtures1,2,3 (sciencedirectassets.com)1
運動後すぐに摂取
また運動後は極力時間を置かず、できるだけ早く摂取したほうが効果的です。
実際に、運動直後と運動3時間後に摂取した人とでは、タンパク質合成に大きな差が生じます。運動3時間後に摂取すると、合成よりも分解が上回ってしまうことが見て取れます。
逆に、運動後すぐに摂取したことで合成が分解を上回っています。
運動直後に摂取した場合のみ合成>分解!
参考:Postexercise nutrient intake timing in humans is critical to recovery of leg glucose and protein homeostasis – PubMed (nih.gov)2
これらのことから、運動後にはできるだけ早く、炭水化物とタンパク質を一緒に摂取することが必要です。
タンパク合成を大きくするために運動後すぐ!炭水化物とタンパク質を摂ろう!
さて、これで運動後にこれらを摂取する必要性は分かったと思います。
次はなぜ、「運動前に炭水化物を摂るのか」です。
実はこれも「タンパク質」が関係しています。
運動前に炭水化物
ここまで述べてきて、なぜ運動後に食事を摂取することが必要なのかが分かったと思います。
ここからは、運動前に炭水化物を摂取する必要性について述べていきたいと思います。
タンパク質の役割
タンパク質は、空腹の状態かそうでないかによって役割が変わります。
通常時は、さきほどまで述べていたように組織(筋肉など)の材料となる役割です。
空腹状態の時のタンパク質は、エネルギー源としての役割を果たします。
エネルギー源とは
人は運動時だけでなく、ただ生活するだけでもエネルギーを必要としています。
本来、これらのエネルギー源としての役割を果たすのが、「炭水化物」なのですが、空腹時には「タンパク質」がエネルギー源としての役割に回されてしまいます。
だから、タンパク質を「組織の材料としての役割」に集中させるために、運動前に「炭水化物」を摂取する必要があります。
運動をしない人でも1日でこれだけのエネルギーが必要!
総エネルギー消費量(24時間相当)は、大きく基礎代謝量(約60%)・食事誘発性熱産生(約10%)・身体活動量(約30%)の3つで構成されています。そのうち、基礎代謝量は体格に依存し、食事誘発性熱産生は食事摂取量に依存するため、個人内での変動はあまり大きくありません。総エネルギー消費量が多いか少ないかは、身体活動量によって決まります。
引用:身体活動とエネルギー代謝3
まとめ
筋肉を大きくするには、運動前に炭水化物、運動後に炭水化物+タンパク質を摂取することで効果的になります。
ただいっぱい食事を摂ることやがむしゃらに筋トレをするだけでなく、知識的な面からアプローチをすることも必要だと思います。
これからも食事方法や効果的なトレーニング方法などを記事として載せていきたいと考えていますので、次回の記事も楽しみにしていてください!
- Luc JC van Loon, Wim HM Saris, Margriet Kruijshoop, Anton JM Wagenmakers,July 2000,「Maximizing postexercise muscle glycogen synthesis: carbohydrate supplementation and the application of amino acid or protein hydrolysate mixtures1,2,3 (sciencedirectassets.com)」『The American Journal of Clinical Nutrition』Volume 72, Issue 1:Pages 106-111,(2024-3-28,Maximizing postexercise muscle glycogen synthesis: carbohydrate supplementation and the application of amino acid or protein hydrolysate mixtures – ScienceDirect) ↩︎
- D K Levenhagen 1, J D Gresham, M G Carlson, D J Maron, M J Borel, P J Flakoll,2001,「Postexercise nutrient intake timing in humans is critical to recovery of leg glucose and protein homeostasis -」『Am J Physiol Endocrinol Metab』,Volume 280, Issue 6,(2024-3-28,Postexercise nutrient intake timing in humans is critical to recovery of leg glucose and protein homeostasis | American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism) ↩︎
- 厚生労働省.身体活動とエネルギー代謝.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-003.html, (参照 2024-3-28) ↩︎