日本時間4月11日そして4月16日の短い期間にプレミアリーグ、いや世界の中でも有数の強さを誇り、現在のサッカー界をけん引する２チームが対戦をした。
その２チームとはタイトルにもあるようにリヴァプールとマンチェスターシティでこの両者は近年のプレミアリーグの優勝を分け合っており、試合前のプレミアリーグにおいても1位と2位につけ、またCLにおいてもベスト４に名を連ねている。11日の試合はプレミアリーグの優勝争い、16日の試合はFAカップの準決勝という事でどちらの試合も両チームにとって重要な試合であり、世界中が注目する一戦だった。
結果は11日２－２ドローと16日３－２のリヴァプールの勝利。両チーム前後にCLのラウンド８があったにも関わらず２試合通じて高いインテンシティで行われたこの試合は文字通り世界最高峰の戦いといっていい内容だった。
そんな試合をした両チームにはモハメド・サラーやサディオ・マネ、ケビン・デ・ブルイネやフィル・フォーデンなど多くのスター選手が在籍していおり、ベンチにも各国の代表クラスが名を連ねている。
今回の記事で取り上げるのはこのスター選手ではなく、彼らを率いる監督のジョゼップ・グアルディオラ（以降ペップ）と ユルゲン・クロップこの２人の名将に注目していきたい。
ペップの哲学と試合で見られた変化
ペップは知っての通り、バルセロナ時代からずっと「ポゼッション原理主義」を唱え続け、ポジショナルプレーによるボール保持をし続けることで相手を圧倒するサッカーを展開してきた監督で自身の哲学をどんな相手であってもすことで有名な監督で彼の登場がサッカーの歴史を変えたといっても過言ではないだろう。
しかし日本時間の11日に行われた試合ではこれまでとは異なるペップのサッカーを見られた。
この試合ペップはハイライン・ハイプレスを仕掛けてくるリヴァプールに対し、これまでの中盤を経由しポゼッションをする攻撃だけでなく、DFラインからハイラインの裏を狙うロングボールを多用していた。
この戦術によりシティは前半多くのチャンスを作り、対するリヴァプールは後半にラインを下げるという対策を取らざるを得ない状況になってしまった。
ラインを下げたリヴァプールに対してシティは得意のポゼッションサッカーとロングボールの２つを軸とした攻撃を仕掛けることでリヴァプールゴール脅かし続けた。
このペップのロングボールを取り入れた戦術の採用は間違いなくクロップという監督が作り上げたハイライン・ハイプレスのの「ストーミング」といわれる戦術への対策で平たく言えばクロップという監督の存在がペップを成長させたということができるだろう。
このペップのロングボールを取り入れた戦術の採用は間違いなくクロップという監督が作り上げたハイライン・ハイプレスのの「ストーミング」といわれる戦術への対策で平たく言えばクロップという監督の存在がペップを成長させたということができるだろう。」
クロップの戦術とチアゴの加入にその変化
対するクロップもペップに大きな影響を受けている。クロップは当時革命的であり世界中のチームが真似をしたペップバルサのサッカーを「退屈」と表現し、上記したようにハイライン・ハイプレスからのショートカウンターという戦術を好む。
そんな彼の戦術に変化が見られたのは2020-2021シーズンからでこのシーズンが始まる前にバイエルンからチアゴを獲得したところから始まったと言って良い。というのもチアゴはペップのバイエルンの監督就任と同時にバルセロナから引き抜かれた言わばペップサッカーの申し子ともいえる選手でそんな彼が対極に位置する戦術を好むクロップの率いるリヴァプールに移籍をしたことは少々話題になった。
彼の加入によりリヴァプールのサッカーは少しずつ変化が見られるようになり、チアゴを中心とするポゼッションから攻撃を組み立てる場面も多くなっており、それは11日、16日の両試合で見ることができ、チアゴはリヴァプールの中で異質な存在感を放っていた。
このクロップのポゼッションを取り入れた戦術もペップシティと戦うようになってから顕著見られたものでクロップにとってもペップの存在が成長を促してくれたいうことができる。
試合後に見られた彼らの関係性
また11日の試合で彼らの関係がいかに良好で互いにとって良きライバルであることを示す場面があった。
それはPLでは恒例である試合後の指揮官同士の握手の際、彼らは抱擁をし、その後少し談笑し、お互いをチームをたたえ合った。このシーンはこれまで多くの試合を見てきた私も初めて見るような瞬間で、その時の彼らはまるで高校野球の試合終わりのような爽やかなもので見ている人にとって印象的なシーンであった。
Embed from Getty Imagesこのシーンやこれまで書いてきたように彼らは確実に互いを高め合える関係で、その関係性こそリヴァプールとシティというクラブが世界トップでいる要因であり、毎シーズン強さがアップデートされる理由であると感じた。
今後も彼ら２人は世界のサッカー界をけん引し続ける事に疑いの余地はなく、そんな彼らを追いかけていけばもしかすると次の戦術のトレンドが見えてくるかもしれない。
