数値化できない情報が重視されるサッカーは、他のスポーツと比べてスカウトが難しい競技だと言われています。しかしながら、ステップアップを目指す選手たちにとって「スカウトが何を見ているのか」を明確にすることは非常に重要です。今回は特に高校〜大学カテゴリーにおいて何に注目されているかをご紹介します。
グラフから見る選手の見方
「高校・大学年代の選手を見る時にどこを重視しているか」という調査からスカウトが何を見ているかを紐解いていきます。以下のグラフを参考に、いくつか項目をピックアップして解説いたします。(本記事では、わかりやすさを重視して仲介人・エージェントも含めて“スカウト”と表現します。)
強化方針との合致
特にプロカテゴリーのクラブでは、国内外問わず「今年はどのような選手の獲得を目指す」という明確な方向性が策定されています。この強化方針は、在籍選手のプレータイプ分布や移籍状況・ユース選手の昇格見込み・現監督のクラブ運営戦略など、様々な要因によって決定されます。
言い換えれば、「絶対にこのクラブに行きたい」という想いがあっても、その年の強化方針に沿わないステータスの選手であれば、スカウト網に引っ掛かる可能性は低くなるということです。
人間性
「スカウトが見ている人間性とは具体的に何ですか?」と聞くと、明確に回答ができるスカウトは実際はほとんどいません。しかしながら、ほとんどのスカウトが重要なポイントとして人間性を挙げているのも事実。どんな場面から選手の人間性を読み取っているのかを知っておきましょう。
どんな場面から選手の人間性を読み取るの?
- 試合中に逆境になった時の振る舞い
- 思い通りに行かなかった時に反応
- チームメイトとのコミュニケーション
- 練習に対する取り組み
- サッカーに触れる瞬間の目の輝き(心から楽しそうか)
- 性格に関する周囲のコメント
- 面談時・練習参加時の対話
- 学校の成績や評価
第三者評価
スカウトは良い選手を発掘するために、全国に人脈ネットワークを張り巡らせています。各育成クラブの指導者はもちろん、記者・メディア関係者、大会運営団体・連盟、試合をよく観戦しているコアなサッカーファンなど、選手が想像していないような人脈からも情報を収集しようと奔走しているのです。
だからこそ、選手自身はチームの中での評価だけを意識するだけでは足りません。接点のある全ての方々に対して、サッカーに対する熱意を伝え、誠実に対応することが求められます。
他クラブからのオファー状況
スカウトは、他クラブのスカウトとも日々情報交換を行なっています。オファーを出した選手が必ず獲得できるわけでもなく、獲得した選手が活躍できない可能性もある中で、「どのクラブと競合しそうか」「このスカウトが評価した選手なら大丈夫」「将来の移籍を見込んで関係を作っておこう」など、様々な意図のあるやり取りが繰り返されています。
また、スカウトによって選手の評価軸は大きく異なるため、ステップアップを目指すならスカウトを待つだけでなく自ら主体的に情報を発信していくことも重要です。
出身地
とりわけJクラブに関しては、地域密着型のチーム運営を行なっているため、同じレベルの選手なら地元にゆかりのある選手を優先して獲得したい、と考えている場合があります。そのため、「自分が当落戦上にいるな」という感覚がある選手は、地域と自分のつながりを示しておくことも重要です。(住んだことのない地域でも、その地域と何かしら関わったエピソードがあるのであれば伝えておくに越したことはありません!)
今回ご紹介した項目以外にも、スカウトは様々な観点から選手をチェックしています。本気でステップアップをしたいと思っている選手は、ただ日々の練習を頑張るだけでなく、スカウト側の視点を理解した上でやれることに取り組んでいきましょう!